私がこの土地で苗木から木を育てるということに取り組み始めてから、19年が経ちました。
土地や土壌の違いから、「うまくいかない」と何度も言われましたが、木が少しずつ成長し、大きくなっていく様子を見て、「面白いな」と思えるようになりました。
この地域では、苗木を一から育てるのではなく、他県からある程度育った木を仕入れ、そこから先の枝の仕立てを施すのが主流です。この枝先の技術こそが三潴の特色であり、誇るべき技術です。仕入れた木をこちらでさらに丁寧に仕立て上げ、美しく整える。この作業の流れそのものに魅力を感じています。
一方で、自分たちの土地で苗から育てることもあります。が、どうしても手をかけすぎてしまい、大きく育ちきらないことがあるのです。少し放任するくらいの感覚が必要だと感じていますが、技術を持つ人ほど細部が気になり、手を入れすぎてしまう傾向があります。周りから「手を抜いている」と思われたくない気持ちが強いのかもしれません。でもそれでは木が本来の力を発揮できない。他の地域では2、3年放置すると太りが早く、育成の流れが違う点に驚かされます。
それでも、自分の土地で苗から木を育てることには独自の魅力があります。木型を自分の思い通りに曲げることができ、一本一本に自分の手を加えることで生まれる愛着は何物にも代えがたいものです。毎年少しずつ新しい苗を植え、時には従業員に任せながら、新たな挑戦を続けています。
木を育てることは、ただ大きくするだけではありません。その過程で技術を磨き、自然と対話しながら、自分自身を成長させていく旅だと思っています。